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酬恩庵一休寺

とんちの一休さんのお寺として知られている酬恩庵(通称、一休寺)は、もとは妙勝寺といい、大応国師によって正応年中(1288-1293)に禅の道場として草創されたのが始まりである。その後、元弘の戦火にかかり荒廃していたものを六代の法孫にあたる一休禅師が康生2(1456)年に再興し、師恩に報いる意味で「酬恩庵(しゅうおんあん)」と命名された。禅師は88歳で自寂されるまでの晩年、ここを居とされた。  現在みられる本堂は、室町幕府6代将軍足利義教により建立され、方丈や庫裏、唐門、東司、鐘楼、浴室は加賀藩主前田利常により復興されている(いずれも重要文化財)。 四季それぞれに風情があるが、秋の紅葉の時期は格別の趣がある。本堂 京都最古の唐様建築 足利義教(室町幕府第6代将軍)の帰依により、1400年代に建立された。 内部に釈迦如来・文殊菩薩・普賢菩薩が安置されている、室町時代の代表的な禅宗建築で重要文化財に指定されている。建築は桁行(けたゆき)三間、梁間(はりま)三間、屋根は入母屋造(いりもやづくり)の桧皮葺(ひわだぶき)で、山城・大和(京都・奈良)地方で最も古い唐様式(禅宗様)である(一間約1.82メートル) 軒は二重、垂木は扇のように放射状に並ぶ。円形の柱の両端には粽(ちまき)が付けられ、柱頂に台輪(だいわ)、柱下に礎盤(そばん)がある。柱間装置は、正面中央は桟唐戸(さんからと)、左右に花頭窓(かとうまど)が設けられ、その上に立湧欄間(たてわきらんま)を入れている。 このように、本堂を構成する各部分は細かく装飾的で、唐様独特の特徴が見られる。また、仏壇上の如意頭文飾は、通常の渦文だけでなく蕨手様の模様が刻まれている非常に珍しいものである。